世界が終わる時の景色



教室に入れば、いつもは鬱陶しい程に女子生徒が集まる。

だけど莉麻と付き合っているという噂が広まった今は、
遠巻きに熱い視線と密やかな声が聞こえてくるだけ。


「…ちょうどよかったかも、な」


志乃との決別を決めたからこそ、
莉麻の存在が無ければきっと…

自分は狂っていた。

昨日の夜は彼女も、"狂ったように"泣いていたけれど。

朝起こしに行くまでもなく、自分で起きて、
勝手に学校に向かったという。

「寂しい」という気持ち、
そしてまだ残る愛しさ。

それらを押し殺して、執事に徹する。

たとえ、彼女が結婚しても。

それが、自分の選んだ道だ。



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