世界が終わる時の景色



「…わっ」


急にぐいっとシャツを引かれたと思えば、
唇が重なった。

最初は初々しかった彼女も、もうすっかり手慣れたものだ。


「…先輩としてた時も、こんなに淡々としてたの?」

「…だったら?」

「嫌われるよ、それ」


くすっと微笑む。

久しぶりに見た無邪気な笑顔。


「ねぇ、放課後デートしない?」


ブレザーを羽織る彼女が不意に告げる。


「…ごめん。すぐ帰って仕事があるから」

「…仕事、か」



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