世界が終わる時の景色



「ごちそうさま」

「…珍しく完食なされましたね」

「お腹が空いてたのよ」


口元を拭いて立ち上がり、


「夜食はいらないわ」

「…かしこまりました」


大広間を出ていく彼女の背中は、
腕に残る抱き締めた感触よりずっと細くて。


「…志乃お嬢様、物凄くお痩せになりました」

「どれくらい落ちてた?」

「5キロ程でしょうか…」

「…ただでさえ細いからね、

…倒れたりしないといいんだけど」


その心配の矢先だった。



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