世界が終わる時の景色
「…本当に好きなのね、南十字さんの事」
「…小さい頃から一緒に居るのが当たり前で、
気づいたら好きなのかもしれない、って思ってました。
だから今は、少し迷ってます」
「あら、そうなの?」
「僕は志乃しか知らない。志乃も僕しか知らない。
僕達は小さい頃から、ふたりしか居ない世界に居たから」
華奢な手を握り、祈るように額に当てる。
「歪んでるわねぇ」
くすりと、白石の笑う声が聞こえた。
「…でも、これだけは確かなんです」
この言葉を言うには、勇気がいるけれど。
「…僕は志乃を、愛してる。
この世界の誰よりも、何よりも大切なんです…」