世界が終わる時の景色



握った手に力を込め、絞り出すように呟いた。


「…その台詞、私に言うべきじゃないわね。

言わなきゃいけない人がいるんじゃない?

そうね、南十字さんと…あともうひとり」


からから…と、控え目にドアが開けられる音がした。

目線を向けると、そこに居たのは


「…莉麻…」

「…先輩が倒れたって、聞いて。心配で…その、」


歯切れ悪く口ごもってから、上目使いで日向を見つめた。


「…大丈夫、なの?」

「…早退させるよ。家に帰れば使用人もいるし、

こうして倒れた以上は僕がちゃんと監視するから。

心配してくれて、ありがとう。莉麻」


微笑むと莉麻は、安心したように頬を緩ませた。



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