世界が終わる時の景色



その肩が震えている事に気づいたから。


「…別れてほしい」


彼女の背中を見つめて告げた。


「…うん、ありがとう」


震える声で、泣きそうなのを必死に堪えている事が伝わる。

歩き出してドアを開けた莉麻は、一瞬だけ振り返り。


「好きだったよ、日向くん」

「…うん」

「南十字先輩。先輩は私の、憧れです」

…え?

「幸せになってくださいね」


そして莉麻は立ち去った。

日向は振り返り、志乃の姿を捉える。



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