世界が終わる時の景色



―・・・



「…久しぶりね」

「うん」


月明かりの照らすバルコニー。

彼女は相変わらず白いキャミソールワンピを着て、
長い黒髪を緩い風に靡かせている。


「ねぇ、日向」

「うん?」


伸ばされる手に吸い込まれるように、
彼女に近づく。


「私との恋愛が、嫌になった事はない?」

「…どうして?」

「どんなに愛し合おうと、結婚は出来ない。

たとえ逃げてそうなれたとしても、公には出来ない。

そんなの、辛すぎるわ」



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