世界が終わる時の景色



その手は、日向の頬を撫でた。


「志乃は、辛いの?」

「…辛くない、と言えば嘘になるかもしれないわ。

だけど、貴方以外を欲しいと思えないんだもの」

「僕も同じ気持ちだよ」


頬を撫でる志乃の手を取り、口付けた。


「同じ気持ちなんだから…それでいい」


微笑んでみせれば、微笑み返してくれる。


「そうね…」


握っているのとは反対の手で、髪を弄ばれる。

毛先を弄っている指先が首筋を掠め、
少しくすぐったい。



< 161 / 207 >

この作品をシェア

pagetop