世界が終わる時の景色



「だってこのヒール、10センチくらいあるのに届かないもの」

「一応181センチあるからね」

「…昔は、私の方が大きかったのに」


するりと頬を撫でられ、懐かしそうに目が細められた。


「…次行こうか」

「決めてるの?」

「うん。今ね、決めた」

「…日向って、意外と直感で動くのね」

「今だけね」


今日だけは、…今、この瞬間だけは。

普通のカップルでいようと決めた。


「選んで」



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