世界が終わる時の景色
今日は雲がかかって、朧月になっている。
晩秋なだけあり、風が冷たい。
冷えた志乃の肩を、後ろから抱き締めた。
「…もし生まれ変われるなら…」
そして小さく、呟いた。
「また志乃と、出会う運命にありたい。
だけど今度は、今とは違う運命で」
「たとえば?」
「…そうだな。志乃が令嬢じゃなくて、僕が執事じゃなくて」
「私、今以外の生活なんて考えられないわ」
「僕も。…だから、ふたりで居なきゃ」
ふたりで笑いあった。