世界が終わる時の景色
額を合わせて、微笑みあう。
まるでそれが当然かのように、唇を重ねた。
「…篠山の別荘に行こう。海辺の別荘。
小さい頃に父さんと行ったきりだけど、
手入れはしてあるし…バルコニーもあるんだよ。
先代がロミオとジュリエットをイメージして建てた洋館なんだって」
「いいわね。南十字の別荘だとすぐに連絡がいっちゃうし」
「いつがいい?」
「…いつでもいいわ。でも寒いのは嫌だから、
本格的に冬になる前がいい」
「じゃあ、準備しておくよ」
世界を終わらせる準備を、始めよう。
それがふたりの幸せだと信じて。