世界が終わる時の景色



手を伸ばす。

彼女の心臓目掛けて、
握っている物を押し付けた。

そして同時に、とん、
と、何かが押し付けられたような衝撃。

似つかわしくない重苦しい音と共に、
赤いものが視界を埋めた。

それは自分のものだろうか。

それとも、彼女のものだろうか。





「…ひな、た…」


か細い声。

微笑み。





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