世界が終わる時の景色
「…志乃…」
ぐらつく視界。
痛みは無い。
あるのは解放感と、彼女への愛と、幸福感。
応えるように彼女の名前を呼び、
意識とは関係なく身体が倒れていく。
バルコニーの柵に寄り掛かるように、
ずるずると彼女は座り込んで。
その隣に、寄り添うように座り込んだ。
薄れゆく意識の中、手探りで彼女の手を握る。
指先を絡め、きゅっと握りしめ。
肩に感じた、微かな重み。
その重みに、自分の頭を預けた。
―愛してる。