世界が終わる時の景色
「だから、ご褒美ちょうだい?」
「…ココアをお持ちしましたが」
「嫌よ」
駄々をこねるように、ぎゅうっと日向に抱きつく志乃。
細い体に似つかわしくない豊満な胸が、
華奢な割にがっしりした日向の胸板に押し付けられる。
「…さっきね、お父様に呼ばれたの」
「…はい」
「お見合い相手…でもないわね。
婚約者の写真を見せられたわ」
「……」
「素敵な方よ。藤堂家のご子息。
あの家には美形の血が流れてるのね」
「…そうでいらっしゃいますか」
「何も言わないの?」
「何も、とは」
「結婚なんてするな、…とか」