世界が終わる時の景色
聴こえる歌声を頼りに歩いて行く。
周りの人々も、釣られるようにその声を追い掛けているようだ。
辿り着いた場所には、
公園の噴水の前に座り込み、弾き語りをしている青年が居た。
「凄い声…」
「うん…」
低く甘く、脳を揺らすような声。
圧倒的な歌唱力、存在感。
その場に居る誰もが、彼の歌に耳を傾けていて。
やがて曲が終わると、
割れんばかりの拍手と歓声が湧き上がった。
「…ありがとう」
ふわりと柔らかく微笑んだ彼は、相当の美形で。
「あの人、絶対この後スカウトされるわね。何なら、成瀬川の事務所にご紹介したいくらいだわ」
「だろうね」