世界が終わる時の景色



彼女の言う通り、彼の周りにはスカウトマンらしき人が群がっている。


「ははっ、ありがとうございますー」


なんて、軽く受け流されているけれど。


「デビューとかには興味無いのね」

「みたいだね」

「……」

「何?」


じっ、と見つめられているのに気づき、志乃へと視線を向ける。


「日向の声なら、歌に映えそうだなぁって」

「んー、俺音痴だし」

「そうなの?」

「…たぶん」

「ふふっ、今度はカラオケでも行きましょうか」


"今度"という言葉に、ぴくりと肩が跳ねた。


「…あ…」



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