世界が終わる時の景色
志乃の要望でやって来たファミレスは、
少し早い夕食時という事もあり混雑していた。
「混んでるわね…」
「時間が時間だし。志乃、何食べる?」
「いっぱいあって悩むわ!」
メニューを見る志乃の目は、
子どものようにキラキラしていて。
「ねぇ、全部頼んじゃ…」
「だめ。食べきれないしもったいない」
「だって、食べたい物たくさんあるんだもの…」
「ファミレスくらい、またいつでも来れるでしょ」
その刹那、志乃は弾かれたように顔を上げて。
「…いいの?また、来れるの?」
「…もちろん。これくらい、学校帰りにでも寄れるよ」
「…ええ、そうね。じゃあ…これにするわ」
穏やかに、嬉しそうに緩んだ志乃の表情。
心から愛しいと思うと同時に、
ひとつの黒い感情が湧き上がった。