世界が終わる時の景色



「…あら?篠山、いつもと匂いが違うわね」

「…え、」


夕食後、食器を片づけようと彼女に近づいた。


「また誰かに告白されたのかしら」

「……」

「その時に迫られでもした?」


大広間では他の使用人の目がある。

だから、わかりやすく嫉妬の感情は出さないけれど…

彼女の瞳は明らかに、笑っていない。


「モテる男は大変ね、篠山」


それだけ言って、彼女は部屋に戻って行った。


「…しくじったな」


風呂に入っておくべきだった、
そう後悔してももう遅い。



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