世界が終わる時の景色



「"執事と令嬢の恋愛"だなんてカマかけてみたけど、

本当にそうだったのね」

「…俺の勝手な片思いだよ。志乃は暇潰しに俺を使ってるだけ」


「本当にそうかしらね?」という紫音の言葉は、
日向が歩き出すと同時に響いた靴音に掻き消された。



―・・・



「夜、待ってるわ」


夕食後、そう囁いてから、志乃は部屋に戻った。


「…はぁ、」


溜息をひとつ吐いてから仕事に戻る。

片づけに明日の準備。

しなければならない事は、まだまだたくさんある。

その間に、彼女が寝てくれないか…と、少しの期待を抱いて。



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