世界が終わる時の景色



「…起きてたか」


ノックもせずドアを開ける。

開口一番そう言い放った日向に、
バルコニーで月の光を浴びていた志乃はくすっと笑った。


「今日は眠くないのよ」


そして、振り返る。


「来て」


手を伸ばし、日向を真っ直ぐに見つめて。

その手に吸い込まれるように、日向は彼女に近づいて。

距離が縮まり、志乃は日向の頬をするりと撫でた。


「貴方に抱かれた女は、この世に私ひとりでいいのよ」



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