世界が終わる時の景色
再び日向の胸に顔を埋めた志乃の華奢な肩は、小さく震えていた。
「…志乃…」
「ずっと言えなかった。…いえ、言わなかった。
今の関係に甘えていたから。
"命令"だって言えば、篠山は何でもする。
キスも、それ以上だって。
それに甘えて…でも、その度虚しかった。
だって、そこに貴方の意思は無いから。
私はずっと、"日向"から求められたかったの…」
震える肩を優しく包み、抱き締めた。
「お願い…日向…」
やっと聞けた、志乃の気持ち。
「今は日向」だと思うのに、着ている執事服がその思考を邪魔する。
「…志乃、僕は…」
志乃の身体を少し離し、目線を絡めた、その時。