世界が終わる時の景色
「ああ、志乃。ただいま。…少し痩せたか?」
「…ええ、婚約者との顔合わせが近いから。
少しダイエットしたの」
その言葉に、耳を疑った。
「…志乃お嬢様が、ここしばらくまともに食事をしてくださらなくて」
食事の席を担当しているメイドが、こっそりと日向に耳打ちした。
「どうしてもっと早く…!」
「申し訳ありません…。志乃お嬢様が、
篠山には言わないでと仰るものですから…」
「そんなのいつもの事でしょ?真に受けたの?」
「いえ、それが…いつもの調子で、
怒られたくないから言わないで、という感じでは無くて…」
その瞬間、すべてを悟った。
「…ああ…いや、わかった。もういい…」
「次からはお伝えします…」