気まぐれ作品置き場



「俺は、能九………」


『そうだよ、のうく』

『だからおいで、こっちに』

『おいで、おいで』

『おかえり、のうく』

『君の居場所はここだよ』

『ねぇ、能九』



俺の体にまとわりつく触手。


俺の居場所。それはどこにもない。俺はただ、行きたい場所へ行くだけ。


だから、



「……ぎゃひひっ、おうおう、俺の居場所はここじゃねえっつうのー。え、なになに?まっさかテメェら、この俺をこんな胸くそ悪いとこに住み着かせようってか?

ぎゃひひっ、冗談じゃねえよう。俺の居場所は、あっちの世界だ。俺の名を、皮肉たっぷりに呼ぶ。あいつがいる世界だ」


『……ちがう、ちがうよ能九』


「ちがわねえよ。俺の居場所は、」



体がすぅ、と溶ける感触がして。



「俺の友達んところだ」



思い出されるのは、つい先日のこと。

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