気まぐれ作品置き場



「っ、……」



ぴくりと動く手足。


ああ、帰ってきたのかと。瞬時に理解した。俺はこっちの世界に帰ってきたのかと。


つと、俺は自分がソファーの上で寝ていたことに気づく。

体中ぐるぐる包帯だらけ。


ずきりと痛む、腹部。



「あれ、起きたんですか」


「………いよう、相変わらず特徴のねえしょぼい顔してんなあテメェは」


「あなたには負けますよ。よだれ垂らして寝ていた間抜け面には、さすがの僕もかなり引きましたから」


「って垂らしてねえっつの!つうかなに、お前?普段から毒吐いてるくせにまーまー、俺を家に連れこむなんてよう」


「ええ、まったくですよ。六葉に説明するの、大変だったんですからね」


「ぎゃひひっ、そりゃ最高だなあ。テメェの困りきった顔でも拝みたかった……「六葉には『能九さんは寂しがり屋だから、わざわざ僕の家で寝るんですよ』と言っておきました」


「なにお前どうどうと嘘吐いちゃってんの?!」

< 105 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop