気まぐれ作品置き場



「すまない……見苦しいところを見せてしまったな」


「いえ、そんなことはありません。あなたはいつも僕を気にかけてくれる、優しくてカッコいいお兄さんのような存在ですよ」


「ぶッ、おまっ、お兄さんって!東雲(しののめ)がお兄さんってよう!ぎゃひひっ、閉じた腸(はらわた)がぱっくり開きそうだぜまったく!」


「あ、能九(のうく)さんはお父さんですかね」


「げぇっほごっほッ!…はぁあ?!俺がテメェの父親だあ?! ふっざけんなっ、誰がテメェなんかと……!」


「そうですね。能九さんはお父さんではなく、僕と仲のいいお友達ですものね」


「だああっれがだれと仲がいいって、ええっ? テメェなんぞと友達になるかクソボケがあっ!」


「相変わらず照れ隠しが下手なようで……まあそこが能九さんの可愛いところですが」


「可愛い言うなやっ!どんだけ脳内変換してんだよ?!むしろそこまでいくと尊敬するわっ」



いつものように和気相々と話す僕たち。

だけど忘れていた。

"この人"の前では、能九さんと仲のいいところを見せてはいけないというのに。

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