気まぐれ作品置き場

「………この、阿呆が」



溜め息をついて立ち上がる能九さん。

反対側のソファーに座っている東雲さんに向かってズイと顔を出すと、ニヤリと笑って頭突きをかました。



「イッ……?!」


「テメェも随分変わったなーあ、東雲(しののめ)よおう。

やっぱ、あいつが原因か?」



『あいつ』

そう言った能九さんが僕を親の指で差してたなんて知らなかったけど、東雲さんが頷く瞬間だけは目で捕らえることができた。



「ひゃひゃっ、ったくよう、テメェに『生きたい』なんざ言わせるなんて、あいつはホント不思議だなあ、おい」


「(ボソ…)……まさかお前 "も" 暦逢に救われたというのか」


「あ?なんか言ったか」


「……いや、なにもない。そうだな、それでは儂もしばらく此処に住むとしようかの。暦逢、よろしくな」


「え、あ……はい」


「はあ?!なに言っちゃってんのお前正気?!だあああっれがテメェなんぞこの家に入れるかってえのっ。

ここは俺の憩いの場だっ、よそ行きやがれ、よそを!」

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