気まぐれ作品置き場
「………。」
既にどこほっつき歩いてんだか分からないあいつを、それでも探そうとする俺は。
あいつを家族だと思っていたからか。
『くーも、なにやっとんねん。ほら、こっちおいでやす』
『僕の胸ん中で泣きい。よしよし、こわかったもんなあ』
『蜘蛛はほんに、優しいなあ』
『蜘蛛、阿呆なことやるんやない。はよう、その刀離しいやあ』
怒るときだって取り乱すことなく、静かにたしなめたくせに。
なんで、なんであんたは。
『死にたいんかっ?! 生きること諦めるくらいなら、好きになった女くらい自分で護りやがれッ!!』
諦めた奴に対してだけ、そうやって本気になるんだよ。
いつも飄々(ひょうひょう)としてるくせして、なんで“どうしようもない奴”に本気になる?