気まぐれ作品置き場
仕方ねえ、移動するか。
「おい、朧車(おぼろぐるま)、いるんだろ。はやく来いよ」
「ひゃひゃひゃっ、蜘蛛さまも人使いが荒い。我もお菊の喚きにはウンザリじゃ」
「あーあああー、ひどーいよおおうっ。うちの皿があ一枚足りないのおううっ」
「ほれ、すぐ喚く」
「だな」
そう言いながらも案外早く来てくれる朧車(おぼろぐるま)。
妖怪・朧車は、牛車の形をしているが巨大な人面がついている。
俺らを運んでくれる奴だけど、愚痴が多いから困ったもんだ。
「うるさいぞ、お菊。蜘蛛さまが困っているだろう」
「だあって皿がないんだものおう………………あら、九千坊(くせんぼう)。その頭に乗せてるお皿ってえ…」
「お前のではないぞ。………蜘蛛さま、お菊が失礼しました」
そう言って頭を下げる九千坊。