気まぐれ作品置き場
「別にいい。俺は、お前たちを下に見たことなんてない。好きに呼べ」
「蜘蛛さまっ……」
「ほらねー」
「だまれ小僧っ!」
いつものように言い争う二人を余所に、朧車(おぼろぐるま)の中へ入る。
朧車の笑い声はよく響くのだが、本人は気にも止めない。
「ひゃひゃひゃっ、相変わらずあの二人は仲の良いことよ」
「……お前にはそう見えるのか」
「我はそう思っただけのことだぇえ?ひゃひゃっ、悪しからず」
朧車が笑うと牛車全体がガタガタ揺れる。抑えろっていつも言ってんのに。