気まぐれ作品置き場

「……ああ、そうだな」


「だろー? ああー腹減ったあ。九千坊ーっ、めしぃーっ!」


「指図するな小僧!」



朧車の外から飛んでくる声。それすらも温かく感じて。


ああ、俺は一人じゃないんだと。



『蜘蛛、お前にゃ仲間がおんねやから。もうお行き』


「……あほ」



言われなくとも。

あんたがいなくとも幸せになってやるさ。


温もりを忘れるほど、されど憎き笑顔は残すほどに。



『くーも、おいでやす』

「誰がいくか」

『僕の胸ん中で泣きい』

「虫酸が走る」

『よしよし、こわかったなあ』

「……あほ、」



俺は何より、お前のがこええよ。

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