気まぐれ作品置き場
手をあげたのは優男なる紳士。
ぱったりと声が途切れるなか、その紳士はつかつかと奴隷に歩みより、持っていたステッキでぐいっと顔を上げさせる。
「っ……」
「ほう、なかなか綺麗な顔立ちをしているではないか。よろしい、お前は今日から私のものだ。
異論はないね?」
それは奴隷に向かってではなく、周りの愚弄たる貴族たちに向けて。
勿論、まわりにはそこまで金を出そうとは思わない、ちょっとしたお遊び感覚の低位の貴族しかいないため、異論など上がらなかった。
それに満足した紳士は奴隷の首についた枷から伸びている鎖を掴み、ぐいっと引っ張る。
「お前は今日から私の奴隷であり玩具だ。死ぬことなぞ許さないからな」
それは一種の脅しで。