気まぐれ作品置き場



ポツリと、雨粒が落ちてきたかと思えば次第次第に大降りとなってきた。

ついにはザァザァ土砂降りだ。


オマケに俺は傘なんぞ持ってねぇ。
最悪すぎんだろ。



「チッ、しゃあねぇ。あいつの家にでも行くか。あーあーあー、これだから梅雨は嫌いなんだ」



きっと、あいつの家に行けば俺の顔を見るなりこう言うだろう。


『あれ、また来たんですか。あなたも大概暇人ですね……って、ああ。そうか。

そういえばあなたに友達なんていませんものね』


テメェに言われたかねぇーよ、テメェにだけは。


『うっわ、しかもビショ濡れじゃないですか。雨に打たれると禿げますよ。あ、もう手遅れか』


………ヤバイ、あいつの皮肉が想像できちまう。


『しょうがないですね……ほら、上がってください。能九さんも一緒に、晩飯食べるでしょう?』


そう言ってテメェはきっと、あの温かい家に俺を易々と上げちまうんだろうな。

能九さん、能九さん……俺の名前を連呼して、からかって、皮肉をぶつけまくる。


なのに俺は、テメェの家に入り度る。

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