気まぐれ作品置き場
『君が幸せになんて、なれっこない』

『ねぇ、能九?』


「………ぎゃひひっ、しあわせ?んなもんいらねえっつーの。不幸こそが俺の幸!テメェらにゃ分からねぇだろうがな」



よく響くこの空間で、俺の笑い声がぼややんと木霊する。

なんて、気持ちの悪い。



『能九、のうく』

『おいでよ、こっち』

『さびしいよう、ねぇ』

『はやく、はやく』


「だあー、うっせっ。なあんでわざわざそっちに行くんだよう。いいからさっさと元の世界に帰せやっ」



悪態をつき、感覚のない、見えない手で見えない相手を思いきり蹴る。

痛覚なんてないくせに、『痛い』『いたいよう』『能九のばあか』と罵ってくる奴ら。

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