図書室の君
扉を開けると中は
眩しいまでの朝にも関わらず
どこか薄暗くて
人が来ないのも頷けるなと
勝手に一人、考えを巡らせた。
それでも
たとえ人が好かなくても私はこの場所が好きだ。
静かで、一人になれて、何より本の香りに包まれることができるからだ。
本の香りは私を落ち着かせてくれる。
よく図書室には足を運ぶ。
ただ朝は初めてだったりする。
小さい頃から病弱な私は
朝が少しばかり苦手で
普段は予鈴ギリギリか、遅刻、それと保健室登校が多い。
だけれど今日は気分が良くて、余裕を持って学校に来ることができた。
そして初めて朝の図書室に入ることができた。
だから違う世界に踏み出すみたいで少し胸を高鳴らせながら扉を開けた。