蒼宮の都
離宮の入口で、ラサは黎明とは別室に通された。
そこには数名の侍女がおり、問答無用で服を剥ぎ取られ、奥にある浴室へと押し込まれた。
「ハマム」と呼ばれる蒸し風呂は、最近商人達の邸でも盛んに造られているらしい。
勿論、見るのは初めてだった。
(すごい浴室……)
だだっ広い浴室の中でどうしていいか分からず、ラサは小さくなりながら、周囲を見回す。
ドーム型の天井は高く、壁にはモザイクで神話の世界が画かれている。
大理石で造られた寝台に座ると、触れた場所から心地よい暖かさが伝わってきた。
じわりと汗が吹き出してくる。
(こんな世界があるんだ……)
初めて見る世界。
ラサの生きる世界とは余りにかけ離れていた。