蒼宮の都
二人は互いの国の話をし、互いに驚きあった。

王宮とスラムという環境の違いを差し引いても、華国とファティマの生活にはかなりの違いがある。


「難しいのね……」

「私ニハ、此方ノ方ガ難シイワ」

黎明が書いた書を見ながら呟くラサに、彼女はクスクスと笑う。

言葉は勿論、文字ひとつ取っても、二つの国は全く違う。

単純な象形を連ねたファティマの文字と比べ、華国の文字はずっと複雑に見える。

「同ジ発音デモ、意味ニヨッテ使ウ文字ガ違ウノ。ソウイウ意味デハ、覚エルノハ難シイカモ」

「でも、黎明はファティマの言葉も上手ね」

「一杯勉強シタモノ……デモ、マダマダ。藍深ヤマルジャーナハ、モット上手」

「マルジャーナはずっと、黎明の侍女だったの?」

「イイエ、元ハ姉様ノ侍女ダッタノ。私ガファティマニ来ルコトニナッタ時ニ、父様ガツケテクダサッタノ」

「マルジャーナは……」

「ナニ?」

「……何でもないわ」

それは、ラサの言うべきことではなかった。
< 14 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop