蒼宮の都
翌朝、ラサは市場(スーク)の 古着屋へと向かった。
自国の姫を連れ帰ったラサに、藍深(ランシン)から手渡された礼金はかなりの額だった。
ラサはそれを遠慮なく受け取り、旧市街に住む仲間達にも分け与えた。
暫くは皆、食べるのに苦労しなくてすむ。

「いらっしゃい。おや、ラサじゃないか」

「こんにちは、おばさん」

ラサは声を掛けてきた女性に笑みを向けながら、絨毯に積まれた古着を手に取る。

「今日は何をお探しだい?」

「アニース達の服をね」

育ち盛りのアニースやアリーは、あっという間に服が合わなくなる。
しかし稼いだ金はまず食べ物へと回るため、今回のような臨時収入がないとなかなか服まで手が届かない。

色々物色し、気に入る品を見つけたラサは、代金を支払い品物を籠に入れた。

「たまには自分の服も買ったらどうだい?」

「うん……また今度ね」

何時もと同じ言葉を残して立ち去るラサに、女は小さく息を吐く。

「綺麗な姿をしているのに、勿体ないねぇ……」




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