SWEET MELODY

揺れる想い


あたしはそれから
服を着て葵の部屋に
向かった。

…このままにしておけ
ないよね。

深呼吸を何度もして
ノックをする。

コンコン…

「誰〜?」
葵の声がする。

「ゆ…柚夏だけどっ」

ガチャ…

ドアが開いた。

そこには葵の顔が見え
た。

「よっ。遅刻だぞ!
早く練習だ馬鹿っ」
そう言って葵はあたし
の頭を軽く殴る。

……なんでそんな普通
なの?
気を使ってるの?
ねぇー…どうしてそん
なに普通でいられる?

あたしの目からはまた
涙があふれてきた。
…でもグッと堪えて
葵に聞いてみた。

「…見たでしょ?」
「何を?」
「…知ってるくせに」

「智とヤってたこと?」
平然と葵は聞く。

「ヤってないよ…」
「え?」
「途中で止めちゃった」
「なんで?」

なんでだろうね?
急に智が怖かった。

「オレのせい…?」
葵が心配そうな顔して
聞いてきた。

「違うよ!」
あたしは知らない間に
否定してた。

「え…」
葵も急に言われて
驚いた顔をしてる。

「違うの…
なんか急に葵の顔が
浮かんで…。
智に触られてるのが
嫌になったの…」

……あたし何言ってる
んだろ。

「葵ばっかが頭ん中
いっぱいで…」

何言ってんの?
あたし…。
もう涙が溢れてた。

その瞬間…

チュッ

唇に温かい感触がした。

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