姫と無邪気な後輩王子【TABOO】
姫と無邪気な後輩王子
大学のサークル、私は『料理サークル』という名の作って食べるだけの集まりに参加している。
初めは彼氏の為に少しでも料理を上達させたいという気持ちもあったんだけど、今や仲良くなったメンバーと話す事が楽しみになっている。
そんなサークルについ最近、今年の新入生が加わった。
「せーんぱい!姫先輩っ!」
背後から高いテンションの声。
「……来た」
私が呆れた様子で呟くと、一緒にいた友達が苦笑した。
「姫先輩は今日も可愛いですねっ!」
私の横から覗き込む様に顔を出した彼は、そう言ってニッコリ笑う。
「だから……『姫』ってのは止めてってば。私の名前は―――」
「友姫(ゆき)、でしょ?もう読めますよー」
得意げな顔で、彼は嬉しそうに私の名前を呼ぶ。
「……分かってるならそう呼んでよ」
彼は最初に会った時、私の名前を『ともひめ』と思ったらしく、それから姫先輩と呼ぶようになった。
私は毎回訂正するけど、彼は絶対それを変えようとはしない。
しまいには『俺にとってはお姫様みたいだからいーんです!』と言う始末だ。
いつもいつも、調子がくるう。
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