姫と無邪気な後輩王子【TABOO】
「先輩方、今日は何を作るんですか?」
「今日はね~」
全員がそろった所で、今日のメニューの発表。
その途中、ちゃっかり私の隣に座った彼が小声で話しかけてきた。
「姫先輩、サークル終わったら相談があるんですけど」
「……相談?分かった」
その神妙な顔に、何だろうと思いながらも私は了承する。
サークルが終った後、私達は大学のカフェの端で隣り合って座る。
「で、相談って?」
「……実はですね」
彼の声が小さくて、私は少し身を乗り出す。
途端、彼は素早く私に近付いて頬に口付けた。
「―――えっ!」
驚く私にいつもの無邪気な笑みで彼は言う。
「幸せにしますから、俺に浮気しませんか?姫先輩」
初めはうっとおしく思っていたのに、私を慕う姿が時々可愛く思える彼。
その彼の、いつもと違う少し真剣さも混ざった『姫先輩』という響きに、私の心臓がドキンと大きく音を立てた―――