涙のあとの笑顔
 敵から目を逸らさず、ステラに話した後、今度は疑問を敵にぶつけた。

「あなた達は誰?何のためにこんなことを・・・・・・」
「もう俺達のことを忘れるなんて、本当に救いようがないな」

 まるで私のことを知っているかのような言い方。

「あの子にひどいことをした挙句、自殺にまで追いやるなんて、最低な奴だな」

 まさか、私が住んでいた村人達なの!?
 死んだって何?まるで私に傷つけられてボロボロになったかのように。

「彼女が死んだって本当の話?」
「俺達がそんな嘘を吐くかよ!最後の最後まで泣かせて!」

 あのときとこれっぽっちも変わっていない。真実を見ずに、表面上だけで判断する。

「復讐のためにここまで来たの?」
「そうだ、ちょうど良いものが手に入ったからな。それにお前だけ幸せになるなんて、他の奴らも黙ってない。おい、そこにいるだろう?出てきてこいつらと遊んでやれよ!」

 姿を見せたのはニールさんだった。戦闘体勢バッチリといった感じで表情も冷たい笑みを浮かべて見下ろしている。
 
「ニールさん、どうして?」
「雇われたのですよ。この方々に」
「どういうこと?」
「君のことは彼らから聞いていて、私の力で懲らしめるように頼まれていました」

 じりじりと私達に近づいて、足を止めた。

「思っていたより傷ついていないみたいですね?少し早かったでしょうか?」

 ショックを受けているが、今は泣かない。ステラを守らないと!

「本当ですよね?仕事をすれば、多額の金を貰えるというのは・・・・・・」
「あぁ、もういいだろう?こいつらをさっさとやってくれよ」
「一人でやることも面白そうですが、その魔獣達もどうですか?どうせやるなら、一瞬で終わらせたくありません」

 残酷なことを平然と言ってくれる。
 こうなったら後戻りなんてできないと思い、剣を抜いた。

「やはりあっさりやられてはくれませんか」
「当たり前です!」
「そいつらを血まみれに汚しちまえ!」

 ニールさんより先に魔獣達が飛びかかって来た。すかさず剣を振るおうとしたとき、魔獣が飛ばされた。
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