涙のあとの笑顔
 今日、聞きたいことをたくさん聞くことができた。

「約束だよ?」
「守るよ、必ずね」

 お互いの小指を絡ませ、約束の契りを交わした。
 その後は会話や食事を楽しんで、ケヴィンの懐から箱が取り出された。

「フローラ、これ」

 手渡されたものはエレガントで綺麗なネックレス。

「綺麗・・・・・・」
「お誕生日おめでとう」
「ありがとう、つけるね」

 手を首の後ろに回し、ネックレスをつけ、よく見えるように髪を後ろに流した。

「どう?」
「似合っているよ」
「また一つ、宝物が増えた」
「フローラ、気づいている?今日、俺達が初めて出会った日でもあるんだよ?」

 気づかなかった。あの頃は悲しみのどん底だったから。

「そうだったのね」
「思った通りの反応」

 高級レストランでのデートはあっという間に終わった。
 城へ戻る頃には外は真っ暗になっていた。この日はずっとケヴィンの手を握ったまま、眠りに落ちた。
 数日後、私はステラの店で働き始めた。

「お姉ちゃん、仕事に慣れた?」
「うーん、まだかな、でも、頑張るからね」
「私も!」

 ドアが開く音がしたので、笑顔でお客様を迎えた。

「いらっしゃいませ。あ!」
「可愛い店員さん。俺一人だけど、窓際の席は座れる?」
「はい、ご案内致します!」

 私が働くようになってから、時間があるときは常にケヴィンが店で飲食をするようになった。
 イーディも時間があるときはここに来てくれる。
 一年前は泣く日が多かったが、今は笑顔でいられる。
 
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