涙のあとの笑顔
いつもいるはずの姿はそこにはいない。二日前から仕事の都合で出かけている。城を出る前も散々行くことを拒んでいた。
「明日になれば騒がしくなるわ」
窓の外には月が輝いていた。ケヴィンも同じように見ているのかな。
ケヴィンにもっと手を伸ばしたいのに届かない。
今日はよほど疲れていたのかすぐに眠ってしまった。夢の中で私の名前を呼んだのは遠くにいるケヴィンだった。
ケヴィンは夜に帰ってきた。少し疲れた表情をしているように見えた。
「おかえり」
「ただいま」
少し背伸びするような形で抱きしめあった。
「とても長く感じたよ」
「仕事が?」
「そう」
「疲れたでしょ?ちょっと座って待っていて」
「こんな時間にどこへ行くの?」
「少し取りに行くの。すぐに戻るから」
数分後にイーディと一緒に戻ってきた。
「はい」
「紅茶だね、いただきます」
一口飲んでゆっくりと目を開けた。
「美味しい」
「それね、フローラが淹れたものよ」
「そうなの?」
驚いて私の顔を見た。
「うん、私もイーディのように美味しく淹れたいなって思ったから教えてもらったの」
「疲れが少しとれた」
「良かった」
「フローラ、ありがとう」
「いえいえ」
お互いに微笑みあっていた。
「あの、私もいるのよ」
「ごめん、置いてけぼりにしちゃって」
とても心から謝っているようには見えなかった。
ただ言葉を並べただけって感じ。
「さて、仕事から帰ってきたことだし、フローラを堪能しないとね」
「ちょっと何をする気よ?変なことをしないで!」
「変なことじゃないよ。実は前からやってみたいことがあったから」
「初耳。難しいこと?」
「ふふっ、何だろうね?」
それが何なのか見当がつかなかった。
考えていると、ステラから手紙が届いた。ステラと手紙をやり取りすることはしょっちゅうある。
「誰から?」
「ステラからだよ。いつもしているの」
「いつも?」
「うん、あとで返事を書かなきゃ」
手紙をしまってから椅子に座り直した。
「ここに帰ってくるまで、一度だけフローラの夢を見たよ」
「本当?」
ケヴィンも私の夢を見ていたんだ。私もケヴィンの夢を見ていたから驚いた。
「うん。滅多に見ない表情だったから、もう少し見ていたかったな」
滅多に見ない表情ってどんな表情かな?
「どんな?」
「だーめ、教えてあげない。けど、いつかは見たいな。現実で」
最初はあまり表情を出せなかったけれど、日に日に自然と出せるようになっていった。
夢の中の私はどんなことをしていたのかな?
「あれ?」
ケヴィンは少し低めの声を出した。
「明日になれば騒がしくなるわ」
窓の外には月が輝いていた。ケヴィンも同じように見ているのかな。
ケヴィンにもっと手を伸ばしたいのに届かない。
今日はよほど疲れていたのかすぐに眠ってしまった。夢の中で私の名前を呼んだのは遠くにいるケヴィンだった。
ケヴィンは夜に帰ってきた。少し疲れた表情をしているように見えた。
「おかえり」
「ただいま」
少し背伸びするような形で抱きしめあった。
「とても長く感じたよ」
「仕事が?」
「そう」
「疲れたでしょ?ちょっと座って待っていて」
「こんな時間にどこへ行くの?」
「少し取りに行くの。すぐに戻るから」
数分後にイーディと一緒に戻ってきた。
「はい」
「紅茶だね、いただきます」
一口飲んでゆっくりと目を開けた。
「美味しい」
「それね、フローラが淹れたものよ」
「そうなの?」
驚いて私の顔を見た。
「うん、私もイーディのように美味しく淹れたいなって思ったから教えてもらったの」
「疲れが少しとれた」
「良かった」
「フローラ、ありがとう」
「いえいえ」
お互いに微笑みあっていた。
「あの、私もいるのよ」
「ごめん、置いてけぼりにしちゃって」
とても心から謝っているようには見えなかった。
ただ言葉を並べただけって感じ。
「さて、仕事から帰ってきたことだし、フローラを堪能しないとね」
「ちょっと何をする気よ?変なことをしないで!」
「変なことじゃないよ。実は前からやってみたいことがあったから」
「初耳。難しいこと?」
「ふふっ、何だろうね?」
それが何なのか見当がつかなかった。
考えていると、ステラから手紙が届いた。ステラと手紙をやり取りすることはしょっちゅうある。
「誰から?」
「ステラからだよ。いつもしているの」
「いつも?」
「うん、あとで返事を書かなきゃ」
手紙をしまってから椅子に座り直した。
「ここに帰ってくるまで、一度だけフローラの夢を見たよ」
「本当?」
ケヴィンも私の夢を見ていたんだ。私もケヴィンの夢を見ていたから驚いた。
「うん。滅多に見ない表情だったから、もう少し見ていたかったな」
滅多に見ない表情ってどんな表情かな?
「どんな?」
「だーめ、教えてあげない。けど、いつかは見たいな。現実で」
最初はあまり表情を出せなかったけれど、日に日に自然と出せるようになっていった。
夢の中の私はどんなことをしていたのかな?
「あれ?」
ケヴィンは少し低めの声を出した。