涙のあとの笑顔

「可愛い、ほっぺたを触っていい？」
「は、はい」

　ルアナさんはステラの柔らかいほっぺたを触って遊び始めた。

「ふふっ、くすぐったい」

　それに反応して、さらに触り続ける。

「おい、もうその辺でいいだろう？飲めないぜ」

　ノアさんがルアナさんの腕を取り、軽く引いた。

「私の」
「いつからお前のものになったんだ？馬鹿」
「何よ！」

　怒って、持っている食べ物を食べていった。

「お姉ちゃん」
「うん。私達、そろそろ行くね？」
「悪いな、引き止めて」
「ううん、じゃあね」

　ルアナは食べていて喋れないかわりに手を振っている。私達も同じように手を振り返した。

「ステラ、ルアナさんに気に入られていたね」
「ほっぺとか手とか、いっぱい触られた」
「ルアナ様、楽しそうだったわね」
「お姉ちゃん達はどの辺りを見て回ったの？」
「一階がほとんどだよね。上の階はあまり見ていないの」
「じゃあ、上の階へ行こう。面白いものがたくさんあるから」

　上へ行くと、写真や生徒達が書いた小説が展示してあったり、ゲームや喫茶店などをしている。どれも夢中になれるものばかりだった。

「次はここに入ろう！」

　大きな字でクイズと看板に書かれていて、文字のまわりには可愛らしく花や動物の絵で埋まっている。

「どんなクイズだろうね？」
「うーん、物を当てるとか？」
「入ってみよう」

　中に入り、係の人に金を渡したあと、クイズの説明をしてくれた。箱の中から一枚紙を取り出し、それに書いてあるクイズをする。正解が多ければ多いほど、お楽しみのプレゼントが増える。

「なんて書いてある？イーディ」
「音声」
　音声クイズのところまで案内され、三人で考えながら答えを導き出した。簡単だと思っていたら、意外と難しいものもあった。
「簡単なものばかりだと思っていた」
「正解したのは全部で五問ね」

　プレゼントの中身は星やハートの形をしたクッキーだった。

「何だか食べるのが勿体無いね」
「ステラ、いらないの？じゃあ、イーディ、二人で食べようか？」
「そうね」
「お、お姉ちゃん、イーディさん」

　半泣きになっているステラが可愛くて、顔を見合わせて笑った。
　その後は写真撮影をしたり、時間が許される限り、学園祭を楽しんだ。
　城へ戻ることに少し躊躇いはあったが、それでも戻ることにした。今の時間、ちょうどケヴィンも城へ戻っているところだろう。

「ケヴィン、今日もずっとフローラと一緒にいたかったみたい」
「仕事に行きたくないって昨日も言っていたよ」
「ふふっ、今日は女の子同士で楽しめて良かった。ケヴィンがいると、いつも取り合いになってしまうもの」