涙のあとの笑顔
 今朝の話をすると、外へ連れ出された。

「どこへ行くのですか?」
「手伝ってもらう」
「何をですか?」
「行けばわかる」

 着いたところは以前に連れて行ってもらった湖だった。

「いた」

 正面には魔獣達がいた。

「最近、この辺りをうろついていて、怪我人が出ている」
「この魔獣達を倒せばいいってことですね?」
「そうだ。こいつは攻撃力が強いから気をつけろ」
「はい!」

 武器はないが、魔法がある。数は多いが、一人じゃない。
 閉じていた双眸を開き、まっすぐ見た。
 大丈夫、倒すことができる!
 まわりの魔獣たちに魔法攻撃をすると、思っていたより弱かった。問題は大型魔獣。二人で何度も攻撃をしているが、なかなか倒れない。

「フローラ!」

 ジャンプするが、攻撃を避けきれない。怪我をすると思っていると、何かを弾く音が耳元で強く鳴った。アンディさんがシールドを張ってくれたおかげで無傷で済んだ。
 魔力を集めて攻撃すると、魔獣の動きが止まり、自爆した。爆風に吹き飛ばされたが、アンディさんが私を受け止めてくれた。

「ありがとうございます」
「いや」
「傷口を見せてください、すぐに手当てをしますから」

 白魔法を使い、傷口を塞いだ。見るからに痛々しく、すぐに完治するものではなかった。

「お前は変わらないな」

 一瞬、何が何だかわからなかった。

「どういう意味ですか?」
「やっぱりわからないか、当然だよな」
「アンディ・・・・・・さん?」

 すっと立ち上がり、湖を後にした。私も急いでついていった。魔獣を倒した報酬を受け取り、その半分を分けてもらった。

「いいですよ、ほとんどアンディさんが倒したようなものですから」
「よく言うな。お前だってしっかり倒しただろう?ほら」

 見ると結構な金額だ。落とさないようにしっかりとしまった。

「あれだけ暴れたらさすがに腹が減ったな、どこか行くか」
「それでしたら、お勧めのところがありますよ」
「案内を頼む」

 私が案内したところはもちろんステラの店。店の中はそこそこ客がいた。これなら待たなくていい。
 初めてアンディさんと食事をして楽しかった。私の話を真剣に聞いてくれたり、一緒に笑った。
 そのあとは武器店へ行き、新しい武器を購入した。

「良かったな、いいものが手に入って」
「はい!ありがとうございます!」
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