涙のあとの笑顔

「やれやれ、それだったら、このパンを一緒に食べる？」

　ステラは笑顔で賛成し、店員に注文した。

「写真、ありがとう。学園祭のときの」
「いいよ、綺麗に写っていたでしょ？」
「うん、大事にしまっているよ」
「嬉しい！」

　私とステラは楽しい食事をした。この子といるときはいつも笑顔で過ごすことができる。本当の妹になってくれたらいいのにと思いながら、ステラと店で別れた。
　予定より長く店にとどまったので、早歩きで城へ戻っていた。

「何か騒がしい？」

　妙な胸騒ぎがしたので、行ってみると、知らない男が魔獣を呼び出していた。

「この人、ステラが言っていた」

　そこにいたのは昼間、ステラが言っていた不審者！
　魔獣は街の人達を追いかけまわしている。中には恐怖で動けずにいる人もいた。

「せいっ！」

　剣で切り裂いていったが、次から次へと魔獣を召喚していき、囲まれてしまった。

「問題ない」

　魔法を使えば、一気に倒すことができる！
　魔法を発動し、攻撃すると、跡形もなく消えた。

「観念しなさい！」

　すると、同じ格好をした男達四人も現れた。魔獣を出される前に倒そうと魔法を使おうとしたが、一人の男が魔法で攻撃をしてきた。

「うっ！」

　避けきれず、怪我を負い、腕から血が出た。痛みに耐えて前方を見ると、さっきとは違う魔獣を呼び出していた。

「さっきの魔獣より強い」

　それは見ただけですぐにわかった。魔獣が一斉に襲いかかろうとしたとき、鈴の音が鳴り響いた。敵は苦しみ、もがいている。
　何これ？どこで鳴っているの？
　そのとき一人の男が私を庇うように私の前に姿を現した。
　次々と魔獣を剣で倒していった。動きに無駄がない。

「すごい！」

　この人、只者じゃない。力の大きさを見せつけられ、驚くばかりだった。
　男達は気絶させられ、ぴくりとも動かなくなった。

「さっきの鈴はあなたが？」
「そう。これは魔獣が嫌う音だから便利。極一部の店にしか売っていないものだ。やっと来た」

　複数の足音がどんどん大きくなっていく。騒ぎを聞き、慌てて騎士様達が走ってきた。

「もう少し早く来てよ」

　文句が面白かったのか、口元を歪めた。

「あの、街で彼らが魔獣を出して暴れていたのです。怪我人もいるのでお願いします」
「あなたもその一人ですね」

　騎士様が私の腕を見て、渋い顔をした。大したことがないと告げようとしたとき、先程助けてくれた男が口を挟んできた。

「俺が手当てをするから後は頼む。ほら、行くぞ」