涙のあとの笑顔
「今まで他の人でそのようになったことは?」
「ないわね。本当にないわ」

 ケヴィンをそうしてしまうのは本当に私だけなのね。

「フローラはケヴィンの特別ね」
「特別?」
「そう。フローラがいなかったら、きっと見ることができなかったわ」

 あの、明らかに楽しんでいるよね?

「あら?」

 カレンは窓の外を見ている。
 外!?まさかレナードがいたりしないよね?どうか不安が取り払われますように!

「晴れたわね」

 彼じゃない、空を見ていたのね。
 カレンの後ろで安堵の溜息を吐いていた。

「さて、そろそろ部屋へ行くわね」
「うん、今日は来てくれてありがとう」
「ううん、たくさん話せて楽しかったわ」
「こちらこそ」

 別れ際に次のお茶会にも来るようにと念を押された。
 再び一人になり、イーディが来るのを待ったが、なかなか来ない。

「イーディ、遅い」

 時計の秒針は規則正しく動いている。

「失礼します!」

 イーディの大声とドアの音にベッドから落ちそうになった。

「何?そんな大声を出して」
「ごめん、さっきカレン様が戻られるときに部屋で一人でいることを聞いたから急いで来たの」
「そうだ、誰に会っていたの?長く話していたのよね?」
「メイド長と話をしていたの。こんなに遅くまで本当にごめんなさい」
「いいよ、さっきまでカレンと遊んでいたの」
「楽しかったみたいよ。表情がとても明るかった」

 カレンの笑顔は太陽のようだと見ていてつくづくそう感じた。
 次の来客まであと数時間だった。
 その夜、レナードは変装をせず、堂々と部屋へ来た。

「変装していないのね」
「こっちが楽だからな」
「実はね、ケヴィンが今日も一緒にここで寝ようとしていたの。断ったから」
「それは危なかったな。無理矢理にでもここに居座られると、せっかくの楽しみが無駄になる」
「どうしても寝ることができなかったら来るから」
「そう言ったのか?」
「うん」
「まったく、あいつは・・・・・・」

 くしゃくしゃと頭を掻きながら、壁にもたれかかった。

「寝ることができたとしても来る可能性があるね」
「お嬢ちゃんだけだと思っていたら、知っている男もいるからすごい形相をするだろうな」
「何をするかわからないのに、何で楽しそうにしているの?」
「俺はあいつがどう思っても、気に止めないからな」

 レナードはしれっと言って、ベッドに横になった。
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