涙のあとの笑顔

　ドアが開く音を耳にして見てみると、待っていた小さな女の子が来た。

「おかえり、お嬢ちゃん。温まったか？」
「ただいま、うん、さっぱりした」
「どれくらい体温が上がったか確認してやる」
「ひゃっ！だから抱きつかないで！」

　やっぱり癖になっている。こんな子どもに依存しているなんてどうかしている。
　災難だよな。俺みたいな奴に気に入られるなんて。
　その数ヵ月後にようやく太陽の光を浴びることができた。女とその取り巻き達はどこだろうと思っていると、意外なことを村の住人から聞かされた。
　すでにこの村を去り、どこかへ行ったと言う。実家に戻ったのかと思ったら、静かに暮らせる場所を見つけたから行ったらしい。
　心身ともに傷つけておいて、見つけたらただでは済まさない。
　お嬢ちゃんを連れて行こうとしたが、もっと強くなるためにここに残ることにした。俺は力を手に入れることとあいつらを見つけ出すために旅に出た。
　それから何年もの月日が流れ、フローラと再会をした。
　昨日もレナードと一緒に寝てしまった。あのあとはレナードが何か話を聞かせてくれたが、内容を思い出すことができない。
　キスをされたことは記憶にあるのに、だめ！これこそ忘れるべきなのに！
　レナードの手紙が鞄の中に入ってあったが、あれからかなり時間が経っているのにまだ読んでいない。二人が部屋に来たので、取り出せずにいたのだ。

「何で頭を抱えているの？」
「ケヴィン！な、何もないよ！」
「もしかしてパーティのことを誰かに聞いたの？」
「パーティ？」

　何のパーティ？どこで行われるの？

「あら、知らなかった？実はダンスパーティが開かれているの。参加者は自由。ケヴィン、今年も参加をするよね？」
「フローラと一緒なら」
「でも、ダンスとか習ったことない」
「俺がリードするから平気」
「ドレスは貸してくれるの？」
「ええ、貸すわ」

　とりあえず安心することができたが、お茶会のときに緊張していたから、パーティとなると、もっと緊張するだろうな。

「イーディも参加する？」
「もちろん、楽しいから」
「行ってみようかな、どこで開かれるの？」
「ここよ」
「城！？」
「そんなに驚くこと？大ホールがあるからそこでするよ」

　ありましたね。実際に中に入ったことがなかったから忘れていた。

「美味しいものもたくさん用意されるからね」
「いいね」