涙のあとの笑顔
ダンスと料理
「本当に幸せ、普段なら食べられないようなものまでたくさん用意をしているのだから」

 ルアナの頭の中は食べ物で満たしていた。

「ルアナの表情がとても明るい・・・・・・」

 ダンスをしていたときよりずっと嬉しそうに笑っていて、冷製と温製の料理を交互に見ている。私もさっきは少ししか食べていなかったから、見た目と匂いで食欲がそそられる。

「フローラ、どれがいい?」
「私、自分で取るよ?」

 皿を受け取り、目についたものを次々と皿に載せた。
 ルアナを見ると、すでにたくさんの料理が入れてある。見ただけでこっちのお腹がいっぱいになる。

「そんなに入る?結構な量よ?」
「これくらい余裕よ。これが終わったら、冷製料理とデザートを食べるから!」

 どうやってその細い体型を維持しているのだろう。女の子達が羨ましがるのも仕方のないこと。

「ルアナ、クレイグさんとずっと踊っていたの?」
「一曲だけよ。クレイグは夕方まで働いていて、それからにここへ来たのよ」
「それじゃあ、全然休んでいないの?」
「私と踊った後は酒をもらって寛いでいたわ」

 少しでも休まないと、体調を崩したら心配だものね。

「何だよ、女の子達は男よりこっちがいいのか?」

 声をかけてきたのはノアだった。

「ノア!いいじゃない、空腹で倒れそうだったの」
「お前の胃袋はどうなっているんだ?」
「他の人達と一緒よ!」
「嘘だな」
「そんな意地悪を言うのなら、この料理をあげないわよ?」
「それはお前のだからお前が食べろ」
「ノアは何か食べた?」
「ああ、さっきまでアンディといたから食べたぜ。あれ?」

 何かをじっと見ている。視線の先はドレスアップをしたイーディとステラだった。手を振ると、気づいてこっちまで歩いてきた。

「フローラ、どなた?」
「ルアナ、イーディだよ」
「そうなの!?あら、雰囲気が変わったから気づかなかったわ。とても綺麗」
「ありがとうございます、ルアナ様。そのドレス、よくお似合いです」
「嬉しいわ!どれを買おうかと店で悩んでいたのよ」

 くいくいと腕を引かれたので、ステラに視線を戻した。
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