何よりも甘く切なく
ガシガシと自分のダークブラウンの髪を掻き乱しながら、空き教室へ歩みを進め続ける。


もうすぐで着くという時、誰かの話し声がした。


「誰だ……?」


立ち止まってよくよく耳を澄ますと、話し声は男女2人組。


自然と足が声がする方向へ進んで、オレは曲がり角からコッソリ顔を覗かせた。


「…………っ!」


息を呑んだ。


目の前で話し込んでいた男女は、女の方は甘木先輩。


そして男の方は――――…須藤先輩だったから。


「ねぇいいじゃん。行こうよ」


「だから……行きたくないって何回も言ってるでしょうっ!?」
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